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この映画は父親の葬式のために帰ってきた息子が村長に頼まれ、母親を説得する所から始まる。
母親はちいちゃなおばあちゃんだ。おばあちゃんは大好きだったおじいちゃんのために昔ながらの葬式を出したいという。家まで、みんなに棺を担いで来てもらいたいのだ。
息子は今時無理だ。誰も手伝ってくれないと説得する。
ここで映画は二人の出会った時代に変わる。
季節は美しい秋。
おばあちゃんの名はディ。演じる女優はチャン・ツイィー。ダサ可愛い服が良く似合う。
おじいちゃんは村の始めての学校の先生。美男子ではない。
初めて会ったその日からディはすっかり先生の虜になってしまう。「声が良い。先生が読めばどんな文章でも感動する。」と毎日授業を聴きに行く。
また、遠くから眺めて目が合うだけで嬉しくなる。
喜びの表現はモコモコズボンを履いての疾走。とても真直ぐな恋だ。
やがて先生に、ディの気持ちが通じ始める。ところが、先生は町に連れ戻されることになった。最後のご飯に、先生の好きなキノコ餃子を作っているのに、町から来た人達が先生を連れて行く。
大好きな先生が行ってしまう。ディは慌ててお弁当を持って走る。赤い綿入れを着て走る。三つ編みを揺らして走る。モコモコズボンで走る。相手は馬車なので速い。近道の丘の上を走る。やっと目に入る馬車。そのとき転んでお弁当を落してしまう。遠ざかる車。割れたどんぶり。もう食べる人のいない餃子が切ない。
季節はやがて厳しい冬になる。先生を待ち続けたディは体を壊す。知らせを聴いた先生が駆付ける。
そして現代に戻る。
改めておばあちゃんの小さな体を見ると、どうにも切ない。ディの姿を重ねて見るとさらに切ない。
息子は昔ながらの葬式を出す事を決意する。おじいちゃんを慕って遠路はるばる駆付けた教え子たちが、長い行列をなして大雪の降る中、棺を担いで歩く。
この駄目押しで評者たまらず涙。
全体的にベタなのに、またも涙が止まらない。
芸術的な美しさとスケールの大きさをこれほど描きつくした映画は過去なかったと思います。
湖の鏡のような水面が背景となっているシーンと
落ち葉があらしのような風に舞いとぶ森のシーン。
秦王の何もない宮殿に整然と林立する柱と
玉座の前でたくさんのろうそくが一斉に揺らめくシーン。
静と動の対比が、人の感情の激しさを物語っているような気がします。
秦の大軍勢の一糸乱れぬ動きには思わずうなりました。
重厚な音楽もまたすばらしく良いです。
芸術的な”静”を重んじた華麗な作品に仕上がっています。
タタターンという流れるような展開の後は、静止の間合いがあるのが特徴だと思います。
リズム的にタターン・タッタ・タッタ・・・(間合い)・・・タッテンテンといった感じでしょうか。
東洋的な空間が広がり、日本でいう歌舞伎的な要素、中国の京劇的な要素が伺えます。
貴賓にあふれ、彩り豊かな美的感覚が豊かに表現されており幻想的な雰囲気を醸し出しています。
その中でも風の流れや大自然と融合した壮大なパノラマが見ものです。
ひとつの書「剣」から悟りを開き真理を会得してしまうところなどは東洋的思想が発するものであり、雄大でファンタジーなロマンを感じるところです。
動く映像では、詳細まで見られなかったワダエミさんデザインの衣装が、じっくり確認できます。ですが、本の表紙にも主演3人の名前が連ねてあるとおり、3人の写真が主です。絵はがきのように美しかった森の中や、絢爛豪華な牡丹坊の写真が少ないのが少々残念。
石子さんの中国映画に対する深い造詣、表現力もすばらしいですが、個人的には張國榮(レスリー・チャン)の部分がとても興味深いです。彼が中国映画にとってどういう存在であったか、そして彼はどういう俳優だったのか・・・中国映画、そして張國榮について知りたい方にとって、必須アイテムだと思います。これから中国・アジアの映画を見ようと思ってらっしゃる方にもお勧めの1冊です。
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