本書全体からは企業(年金担当者)へ向けての解説文や多く、個人へ向けてのわかりやすさがない。というより、企業年金制度が個人に対して将来どんな影響を与えるかというところまでの制度自体の問題点となると、追求(問題提起)が甘く感じられた。
あくまで「制度のわかりやすい解説書」といった領域からは脱しえない。
それでも制度自体を理解したいとおもう読者にはオススメの1冊であることにはかわりない。
著者ご本人は公認会計士という職業柄からか、企業年金制度などはあくまで「他人事」であり、後半の「確定拠出年金制度」の説明で「会社への忠誠心」などという注釈が出てくるあたりは、個人向けというよりも企業の都合に立脚しているという態度がみえる。
もっと庶民の立場に立って書かれていたら星も増えたとおもう。
企業年金の業界団体が、生保会社や信託銀行のアクチュアリー・年金数理人を総動員して、主要12ヶ国の公的・私的年金制度の比較検証を行った一冊。諸外国の年金制度を国際比較したものとしては、OECD編「図表でみる世界の年金」(原題:Pensions at a Glance)や清家篤・府川哲夫編著「先進5か国の年金改革と日本」など類書には事欠かないものの、本書は私的年金とりわけ企業年金に関する海外情報が網羅されている点が特長。1999年の刊行だが、本書を凌駕する年金国際比較本は未だ現れていない。一刻も早く改訂してほしい書籍のひとつである。