日本の流通業はまだまだ個人経営の小売店の比率が高く、大手企業のシェアは海外諸国に比べれば高くはないですが、ここ数年、イオン、セブンアンドアイの2強を中心に、合従連衡が進んできています。
そのような激変する流通業界の現状と今後の観測について語った本書。
タイトルこそ「イオンが仕掛ける」となっていて、著者の考えもイオン寄りととられかねない表現が多いことは事実ですが、GMSから食品スーパー、百貨店にドラッグなど、およそほとんどの業態に言及している点は、流通業界の状況を俯瞰するにはいい本かと思います。
まぁ、このような流通評論本は数多く出版されてきましたが、業界の動きが早すぎてすぐ陳腐化してしまうため、鮮度と出版のタイミングが命かと思います。また、この業界は一寸先は闇で当事者ですら何が起こるか予測不可能な面もありますので、各企業の今後の動向を正確に、ましてや(その道のプロとは言っても)部外者が言い当てるなど、精緻なデータがあっても不可能でしょう。そのため、ある程度、観測記事的な読み物になってしまうこともやむなしと思います。
鮮度とタイミング、という意味では、特に動向が注目されている西友(とウォルマートの
関係)について述べた部分が最も興味深く読めました。ウォルマートの社員に対する接し方は他の書籍でも指摘されておりますが、このような会社が世界一の流通企業であることに憤りを感じざるを得ません。
イオンに関する雑誌の記事をひたすら集め、重複した内容を読むよりはマシかもしれない。
しかし、読みづらく、ヌケモレも多いため、それ以上のものではない。
『イオンが変える流通業界再編地図』という書名をつけたからには、
流通業界地図の動向、つまり、全体の市場サイズや各企業のシェアの動向は、最低限抑えて欲しかった。
読みづらい理由を、いくつか挙げてみる。
・話の展開の意図がわかりにくい。
・図表がほとんどない。
・1つ1つの主張も、理由付けが薄い。
(元の情報源を調べようにも、参考文献等がまともに書かれていない。3行で終わっている。)
・表記が統一されていない。
(例:セブン&アイ、S&I、セブン&アイホールディングスなど)
致命的に読みにくくしている話の展開の問題についてのみ、より詳細に書いておく。
読み始める前に、筆者の意図を読み取ろうと「はじめに」と「終わりに」を読もうと開いてみる。
が、そもそも「はじめに」も「終わりに」も存在しない。筆者の意図は、推測するしかない。
結論から言うと、筆者の意図はわからなかったのだが。
第一章に書かれているもの。各論であるダイエーの話。
第二章に書かれているのは、またも各論である西友の話。
第三章では、いきなりレベル感がかわって、百貨店業界全般の話。しかもイオンはほとんど出てこない。他の流通各社はどこに行ったのか。
第四章の最後の最後にやっと、日米の市場シェアの図がちょろっと出てくる。
しかし、この図も中途半端で一章分を割いた西友のシェアすら載っていない。
読むのがつらくなり、四章で読むのをやめてしまった。
本書は、家業の呉服屋から出発して今日のイオングループの礎を築いた岡田卓也氏の講演録。
「小売業は平和産業」から始まって、「立地重視」「変化への対応」「バランスシート経営」「社会貢献」など、氏の小売業に対する熱い思い入れとイオングループの経営理念が話し言葉で平易に語られています。
岡田氏の著書にほぼ同様の内容で「小売業は平和の象徴」(日経新聞社刊)がありますが、あちらは氏の半生を詳しく描いているのに比べ、本書は氏の基本的な考えのみを記しており1時間程度で読めます。本当に時間がないという方にはこちらをオススメします。
余談ですが、有名な家訓「大黒柱に車をつけよ」について。なるほど、いい教えだと思うのですが、本書では、街の中心地が変わったことで消費者の利便性を維持できない商店街を例にとって「商人本来の仕事ではない」と批判していることには違和感がありました。いわゆるパパママストアの店主たちは職住一致のことが多くてそう簡単に店を移転できませんし。現社長に比べて(社会貢献活動などの印象があるため)ソフトに見える卓也氏も、結局、大資本を前提にした小売業のヒトなんだなぁと再認識しました。
確かに、著者の気負いを感じる。しかし、それを割り引いて読めば、イオンの強みと弱みもコンパクトにまとめられていると思う。戦略IT構想、戦略物流構想など戦略先行のイオンと著者の見えているものを中心に分析する手法がだぶって見える。結果は将来検証される。著者はイオン擁護という立場を鮮明にすることで、著者なりにリスクを負うことになる。
「マイナスイオンという学術用語は存在しません」「アルカリイオンという言葉も学術用語ではありません。また、酸性やアルカリ性を示す水はあっても、酸性やアルカリ性のイオンというものはありません」「胃腸薬1包と同程度の効果を得るためには、アルカリイオン水を10〜20リットル以上、飲む必要がある」。
「たとえば、除菌イオン、プラズマクラスターイオンなど、さまざまなイオンを耳にします。これらは、イオンの集まりやイオン結合させた物質などをさす言葉として使用される商業的な言葉であって、学術用語ではありません」。
イオンほど、われわれに不可欠で溢れていて身近でありながら、これほど様々な迷信に彩られて誤解され、さらには多くの人が欺かれているものは無いのではないか。
われわれの体の60%以上は水分だが、純水ではなくイオンで満たされた水分である。太陽風も、オーロラも、サビも、電池も、血液も、イオン結合でできた様々な物質(たとえば塩)も、みんなイオンが関係する。その一方で、「XXイオン」など、商業的な目的で作られた用語や、怪しい効能が氾濫しているのもまた事実である。
本書は、そもそもイオンとは何か、という初歩的な解説から始まり、Newtonらしい、Visualでわかりやすい解説で、読者がイオンについての正しい知識を得られるように記述してある。また、元素や物質の解説も加えて、トータルで化学の基本を正しく理解できるように腐心してある。
一方、Newtonムックシリーズの中では、まとまりと深さという点で、ちょっと物足りない部分が残る。元素と周期表の続編という方針が、そのような結果を招いたのではないか。後半の元素の話もとても興味深かったが、それゆえに切り離してもっと深めてそれだけで一冊にして出すべきである。そして、本書については完全にイオンを中心に据えて、イオンを通して科学を語るという編集方針に徹した方が良かったのではないかと思う。
それでも、マイナスイオンがどれだけ体に良いかを力説してある商業用のパンフレットやCMに時間を使うより、本書をしっかり読む方がずっと良心的で適切な知識が得られることは確かである。
戦略の異なった両社を読み取ることが出来て、現在の、海外勢に対抗する両者は今後、日本の流通業界の中心になる事がわかっている。今後の両者の経営戦略などを読み取れ、非常に良い著書だと思う。
最初に、この本を手にとってこれは、買いだと思いました。会社で金属の腐食で困っていたとき偶然この本に出会いました。対話形式で物語形式で知らず知らずイオンの役割がわかっていきます。高校の教科書もこんなにわかりやすければ・・・。高校生にもお勧めです。もちろん腐食で困っている人にも。
流通業のことを知りたいと思っていたので、手頃そうな新書ということで、この『「流通戦略」の新常識』を読んでみました。
日本の流通業はどのようなもので、現在、どのような問題を抱えていて、今後はどのように変わっていくのかということが、コンパクトにまとまっています。ところどころに用語解説も載っていますので、手を止めずに読み進めることができます。
面白かったのは、第5章の「消費起点から流通起点へ」と終章の「21世紀の流通を牛耳るのは誰か?」という章です。
流通業を構成する機能(流れ)として、商流、物流、金流、情流(需要予測などを行うなどの情報機能のこと)の4つがあると言われていますが、今後は、そのうち情流の部分が重要になってくるというのが本書での主張です。その主張の裏付けとして、ユニクロを始め、様々な具体的な企業の実例を挙げて解説されています。
全体的に著者のクセが色濃く出ている本で、最初は違和感を感じる部分もあるかもしれませんが、読み進めるうちに慣れてくるでしょう。
流通業のことを手っ取り早く知るためには良い一冊だと思います。