創世記〜黄金期〜そして現在へと西武ライオンズの歴史が網羅されています。
黄金期のファンの方も、今シーズンの快進撃に胸躍らせている方も、
ライオンズファンなら持っていて損のない1冊です。
THE HISTORY 1979‐2003 と内容はほとんど重なっていないので、
25年史をお持ちの方にもオススメです。
80〜90年代中盤は西武黄金期。
その時代に少年時代から青春時代を過ごした僕にとっては、
今も日本シリーズと言えば西武球場のイメージが強い。
球場を囲む狭山の緑、傾いた秋の陽射しに照らされて、黄金色に輝くグラウンド。
勇躍するライオンズブルー、緑と赤のストライプ、長く伸びる影。
あの西武球場の情景は、今も秋には自然に脳裏に甦る。
本書は西武球団誕生から2003年まで、25年間の足跡を追ったもの。
ふんだんなカラーグラフが、上に書いた印象的な思い出を一層鮮明に蘇らせてくれた。
逆転に次ぐ逆転、史上最高のシリーズの呼び声高い83年の激闘、
秋山のバック転、ヒット一本で一塁から生還した辻の好走、名古屋球場での清原場外弾。
ページをめくるごとにライオンズの名場面がよみがえる。
他球団ファンだった自分から見ればその強さは憎らしくさえあったが、
西武ライオンズが80〜90年代のプロ野球を代表するチームであることを認めないわけにはいかない。
管理と個性が共存した当時の西武は本当に強かった。
その怜悧な完璧さは時につまらないとさえ言われたが、フロントと現場が渾然一体となった
システマチックな強さは、完成されたプロそのものだったと言っていい。
最近では例の”栄養費事件”が発覚したり、エース松坂が抜けたりと、チームは今変革期にある。
しかし危機が訪れるとすぐ次代を担う素材が台頭するのがこのチームの伝統でもある。
再び強く、そして愛される球団を目指して欲しい。
いつかまた、屋根のない西武球場で日本シリーズを見たい。
本書を眺めていて、ついそんな事を思った。
たかが野球。試合は英語で「ゲーム」と言う位だから、球遊びに真剣になっている
人間に、コミュニケーションの何たるかを語られたくないと思う人も
いるかもしれない。
20年以上ライオンズを応援し続けている小生ですらそう思っていたが、
優勝記念のご祝儀の意味も込めて買い求めた本書を読み、その考えを改めた。
本書を読み、以前、小堺一機がラジオで言っていたことを思い出す。
嘗て、萩本欽一に師事していた小堺一機と関根勤は、萩本欽一が番組で
ミスをしたタレントに厳しく注意するのにかかわらず、
同様のミスをした自分たちに一切何も言って来なかったのを不思議に思い、
もしかしたら自分たちへの興味が失せたのかと心配していたそうだが、
萩本は小堺と関根に厳しく接すると萎縮してしまう性格であるのを見抜き、
敢えて厳しく接する事はしなかったのだと言う。
それと似た話が、涌井と岸への接し方の違いについて述べたくだりと
よく似ているということは、どの世界においても、やっている事は違っても、
普遍的なことは変わらないということなのだろう。
どの世界においても、コミュニケーションを取る相手を知り、
相手と同じ高さと視線で接するのは非常に大切なことだからだ。
また、デーブ大久保の打撃コーチ登用や、例年以上に高かった機動力、
故障者の少なさの背景、そして、監督自身が指導者としてのバックグラウンドを
スワローズと台湾で築き上げた時のエピソードがロジカルに描かれており、
それを読み進めて行くに従い、ライオンズファンであることを差し引いても
「これで強くならない方がおかしい」と思ってしまった。