天才科学者が、人間を透明化する血清を発明。しかし、自分で人体実験を試みた結果、透明になったまま元に戻れず、狂気に落ちていく…。誰にも気づかれずに好きなことができる透明人間は、これまでファンタジーのように描かれていたテーマだが、『氷の微笑』『トータル・リコール』のポール・バーホーベン監督は、男の野望と欲望をむき出しにした、えげつない透明人間に作りあげた。 新しいパワーに酔い、秘密を握る研究所の人間を皆殺しにしようとする主人公は、残酷で愚かな男だが、狂気に落ちた人間の歯止めのきかない行動力とバカ力には圧倒される。自己中心的で野蛮な主人公を演じるケビン・ベーコンは、後半ほとんど透明だが、キャラクターをしっかりだして好演。(斎藤 香)
全4巻の武侠小説を名匠アン・リー監督が映画化。「武侠」とは、中国に語り継がれる不思議な能力をもつ英雄伝説のこと。名剣グリーン・デスティニーの使い手、リーに扮するチョウ・ユンファを中心に、許されない恋のため、はたまた幻の秘伝書をめぐって、美しき男女が武術を競う。 屋根の上をぴょんぴょんと飛び回り、壁を駆け上がり、宙を舞い、水の上を滑るように渡っていく。しかも、その凄い技を見せてくれるのが可憐な女性たちなのだ。愛のために戦う女性は強く美しい。 アクション監督は『マトリックス』のユエン・ウーピン。彼の操るワイヤーワークは、観る者の心をワクワクと高鳴らせてくれる。特に竹林の中で戦うシーンは、一幅の絵巻物でも見ているかのようだ。ファンタジー、アクション、ラブストーリのすべてを楽しませてくれる秀作。第73回アカデミー賞で4部門受賞。(斉藤洋美)
チャーリーという正体不明のボスのもとで働く、美女諜報員トリオの大活躍を描いた往年の人気TVシリーズを、キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、そしてルーシー・リューという当代きっての人気女優3人で映画化。あるコンピュータ・ソフトにからんだ誘拐事件の捜査に乗り出したエンジェルたち。誘拐された当人はあっさり見つかるが、その裏には大きな陰謀が…。ミュージック・ビデオクリップやGAPのCMでその名を知られたMcG(マック・ジー)の、初監督作品である。 売りはワイヤーを使ったダイナミックな格闘シーン、ビデオクリップのようなシャープなカット割り、そして何より3人娘のキュートなはしゃぎっぷり。セクシーなベリーダンサーから和服姿、男装まで披露するコスプレも見物だ。「そんなのあり?」な強引な展開ながら、ここまでサービスシーン満載ならそれもまた楽し。公開された2000年時点でのポップカルチャーの集大成と言えそうな、見どころいっぱいの作品に仕上がっている。(安川正吾)
フェラーリやキャディラックなど、高級車ばかりをねらう窃盗団のクライムアクションムービーだ。わずか60秒でどんな車でも盗みだすメンフィスは、そのスジでは伝説的な存在となっている。そんな彼が弟の命を救うため、巨大な組織から引き受けたのは、24時間以内に超高級車50台を盗む仕事だ。腕利きたちが集結し、無謀ともいえる大窃盗プロジェクトがスタートする。 防犯装置をものともせずに、鮮やかな手口で次々と車を盗みだすシーンは痛快で、アクションシーンやカーチェイスも見ごたえたっぷり。ニコラス・ケイジ扮する伝説の車泥棒と、昔の泥棒仲間たちの間にくり広げられる義理人情が、さらにストーリーを盛りあげる。 共演は、『17歳のカルテ』で強烈な個性を放ったアンジェリーナ・ジョリー。男くさいドラマに華やかな色を添えている。(古屋葉月)